トランスピュータ

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トランスピュータ, by Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki?curid=336644 / CC BY SA 3.0

#並行計算
#マイクロプロセッサ
トランスピュータ

トランスピュータ (transputer) は、イギリスのブリストルにある半導体企業が1980年代に設計したマイクロプロセッサアーキテクチャである。並列コンピューティング向けにメモリとシリアル通信リンクを内蔵している。

1980年代後半の一時期、トランスピュータは次世代の新たなコンピュータの始まりであると多くの人々が考えた。インモスとトランスピュータはこの期待には応えられなかったが、トランスピュータのアーキテクチャはコンピュータアーキテクチャの様々なアイデアを生み出すきっかけとなり、そのうちのいくつかは現代のシステムで違った形で採用されている。

1980年代初期、従来からのCPUは性能の限界に達しつつあると見られていた。このころまで、製造技術の問題で設計者がチップに載せられる回路の量が制限されていた。しかし、集積回路の製造技術は進歩し続け、逆に設計者が思いつかないほど大量の回路をチップに載せられるようになった。間もなく、伝統的なCISC型デザインは性能の限界に達し、その限界を超えられるのか当時は明らかではなかった。

唯一の道は並列性を高めることだと思われた。複数のマイクロプロセッサを一緒に動作させ、複数のタスクを同時に処理するのである。これにはマルチタスクと呼ばれる手法が可能なマシンがなければならない。マルチタスクはそれ以前のマイクロプロセッサには困難だったが、当時の最新の設計では効率的に実行できた。マルチタスクが全てのオペレーティングシステムの機能となるのは明らかだった。

マルチタスク設計の副次効果として複数のCPU上で複数のプロセスを動作させることができるようになる。これをマルチプロセッシングという。低価格のマイクロプロセッサでマルチプロセッシングを実現すれば、マイクロプロセッサを追加することで簡単に性能を向上させることができる。それは新たに高速なマイクロプロセッサを設計するよりも非常に低コストで実現可能と思われた。

最初のトランスピュータを設計したのはとロバート・ミルンである。1990年、メイはサウサンプトン大学から名誉博士号を授与され、翌年には王立協会フェローに選ばれ、1992年には英国物理学会からパターソン・メダルを授与されている。当時インモスの技術責任者だったトニー・フュージは、T414トランスピュータ開発により1987年 Prince Philip Designers Prize () を授与された。

トランスピュータ(トランジスタ+コンピュータの造語)は並列コンピューティングに特化した初めての汎用マイクロプロセッサである。様々な能力や値段のチップを組み合わせて並列コンピュータを構成することが目的だった。各チップがトランジスタのように組み合わされて役割を果たすことからトランスピュータと名づけられた。

当初の計画ではトランスピュータのコストは数ドル/ユニットとすることになっていた。インモスはこれがあらゆる場所で使われることを想定した。コンピュータのメインCPUとしてだけではなく、同じコンピュータのディスクドライブのチャネル・コントローラとしてもである。これらトランスピュータは空き時間を利用して別の仕事をさせることもでき、全体として性能を大幅に向上できると考えられた。

各トランスピュータは単独で動作できるだけの回路を備えていたので、その特長はマイクロコントローラに似ている。トランスピュータ同士は複雑なバス(またはマザーボード)を使わずに簡単に接続することができる。電力供給もクロック供給も簡単である。RAMもRAMコントローラも不要である。さらにはRTOSすら要らない。それらは全て組み込み済みである。

当初のトランスピュータは非常に単純で独特のアーキテクチャであり、小さな領域で高性能を達成することを意図したものだった。マイクロプログラム方式でデータの経路を制御するが、当時の他の設計とは異なり、ほとんどの命令は実行に1サイクルしかかからない。命令コードがマイクロコードROMのエントリポイントの識別に使われ、ROMの出力がそのままデータ経路に供給される。複数サイクルかかる命令の場合、データ経路が最初のサイクルを実行する間、次のサイクルのための4つの考えられるオプションがデコードされる。どのオプションを実際に実行に移すかは、最初のサイクルの終わるころに決定する。これによって、アーキテクチャの汎用性を保ちつつ非常に高速な動作を可能にしている。

当時としてはクロック周波数 20MHz は非常に高…

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