Z80, by Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki?curid=2185 / CC BY SA 3.0
Z80
Z80 は、米国ザイログによって製造された 8ビット・マイクロプロセッサである。1976年に発表され、1980年代の中頃までは、パーソナルコンピュータのCPUとしてなど、幅広い用途に使用された。以後も周辺デバイスを集積した製品が出されるなど、現在でも組み込み用途など、目に見えないところで多用されている。
嶋正利らインテルを退社したIntel 8080の開発スタッフが設計を行っており、8080とはバイナリレベルでほぼ上位互換性がある(100%ではない)。
ザイログオリジナルの製品としてクロック周波数が2.5MHzのZ80から20MHzの派生製品まで、各社からセカンドソースや互換製品が製造されている。2007年現在は実チップではなく、FPGAやASIC用のIPコアとして活用されている。パチンコの主基板向けプロセッサーに使われているNECのμPD70008 IPをはじめ、商用の互換コアは20社以上存在し、オープンソースのIPコアも5種類以上存在している。
Z80とその互換CPUは、当初はより高速な8080互換CPUとして応用され、S-100バス互換機にもこぞって搭載されるなど、黎明期のパーソナルコンピューター市場を支配した。日本国内においても、1970年代の末から80年代前半頃にかけて、ビジネス用のオフィスコンピュータなどの他、各社のホビーパソコンにも搭載された。
また組み込み用としては21世紀に至るまで応用され続けて来ており、多数の機器に搭載されたほか、初期のゲーム専用機などにも搭載されていた。パチンコ・パチスロの抽選を司る主基板部分のコアCPUには暗号機能を付与したZ80ベースのカスタムLSIが使われており、消費量の多い分野の一つである。このLSIはCPUとメモリの間で交換するデータを暗号化し、プローブを当ててもプログラムやデータが読み取れない様にしている。
8080が、それと組み合わせられる8251 (USART)、8253 (CTC / PIT)、8255(PPI)でファミリーを構成していたのに対応して、Z80SIO、Z80CTC、Z80PIOや、Z80DMAでZ-80ファミリーを構成する。また、これらを組み合わせたマイコンがある。
開発者の間では、しばしば「ゼッぱち」と略して呼ばれることが多い。しかし、同社にはZ8というマイクロコントローラーもあるため、混乱の原因になることもある。
Z80は、インテルの 8080マイクロプロセッサの改良型といえる製品であり、他のインテル系CPUと同じくリトルエンディアンである。8080に対して、若干の拡張、電源の 5V単一化、より高いクロック周波数への対応などが図られた。メモリ空間は16ビット幅のアドレスバスで示される64KBで、それ以上のメモリ空間を操作する場合には、MMUなどを追加しバンク切り替えなどを行う必要がある。
最大クロック周波数は、Z80が2.5MHz版、Z80Aが4MHz版、Z80Bが6MHz版、Z80EもしくはZ80Hが8MHz版、など、末尾のアルファベットの有無と種類で識別できる。トランジスター数は8,200個。CMOS版ではZ84C0006が6.17MHz、Z84C0008が8MHz、Z84C0010が10MHz、Z84C0020が20MHz動作となっている。
8080から拡張されているものは、DRAMの情報を維持(リフレッシュ)する機能の内蔵とそのためのレジスタの追加、8080では1組だった汎用レジスター群を、切り替えて使用できる表と裏の2組とし、また、IXとIYの2つのインデックスレジスタを使用したメモリ操作を含む命令の増強、割り込みモードの追加、ワイヤードロジックによる命令の実行、相対アドレスによるジャンプ命令などが行われている。乗算・除算命令は8080同様に存在しない。
また、本来16ビット固定のインデックスレジスタを8ビット単位に分割して使用できるなど、ロジックの設計上で派生したとおぼしき、命令表には存在しない隠し命令が存在した。これらの一部はZ280のマニュアル中で正式にドキュメント化されている。
製造には、この頃使われ初めたイオン打ち込み技術が使われた。当時、ライセンスを取ってセカンドソースとして製造する、あるいはクリーンルーム設計による独立実装ではなく、顕微鏡写真を利用したデッドコピーを行う一部の日本企業があったため、イオン打ち込み技術はその対策のためにも使われた。イオン打ち込みにより、エンハンスメント(ノーマリーオフ)に見えるが実はディプリーション(ノーマリーオン)という…
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